ピースおおさか、沖縄戦資料を撤去 府議ら「自虐」批判


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 大阪市中央区の戦争博物館「大阪国際平和センター」(ピースおおさか)が4月のリニューアルに伴い、沖縄戦の実物資料を紹介するコーナーを撤去したことが19日までに分かった。ピースおおさかは展示内容を大阪空襲を中心にしたことを理由に挙げている。

 資料は近く、県平和祈念資料館(糸満市摩文仁)に返還される見通し。同センターではリニューアル前、府議らが展示内容について「自虐史観」と批判した経緯があり、専門家は「『大阪空襲中心』は隠れみので、リニューアルの政治的意図は明らかだ。地域を絞ることは戦争の総括につながらない」と指摘している。
 同センターは、大阪市と大阪府が共同出資した財団が運営しており、1991年に開館した。同資料館から貸し出された資料は鉄かぶとや小銃、軍靴など10点で、開館当初から1階で常設展示されていた。
 リニューアル前の同センターでは、満州事変から太平洋戦争にかけての「15年戦争」を紹介するコーナーで、南京大虐殺など日本軍の加害行為について紹介。しかし、大阪維新の会や自民党の府市議らから「自虐史観」と批判の声が上がっていた。リニューアルでは、同じく常設展示されていた広島の被爆資料と共に、沖縄戦の実物資料も姿を消すことになった。(中里顕)