プロボクシング 比嘉大吾 王座返り咲きへ厳しい船出 移籍初戦ドロー


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バンタム級10回戦 5R 左ストレートを決める比嘉大吾(右)=26日、東京都文京区の後楽園ホール(ジャン松元撮影)

 世界ボクシング評議会(WBC)フライ級の元王者、比嘉大吾(宮古工高出―Ambition)が26日、東京・後楽園ホールで堤聖也(角海老宝石)とバンタム級ノンタイトル10回戦で対戦し、引き分けた。ジャッジの採点は1人が96―94で比嘉を支持し、残り2人が95―95のため規定によりドローとなった。スーパーバンタム級8回戦に臨んだ大湾硫斗(美来工科高出―Ambition)は岸根知也(ミツキ)に5回1分26秒TKO勝ちした。フライ級から2階級上で世界王座返り咲きを狙う25歳の比嘉は2月以来の試合。序盤から手数が乏しく、精彩を欠いた。比嘉の戦績は18戦16勝(16KO)1敗1分けとなった。比嘉は2018年の世界戦で計量に失敗して王座剥奪となった。

 「また一から、世界王者を目指したい」―。世界ボクシング評議会(WBC)フライ級元王者、比嘉大吾のバンタム級初戦は引き分けに終わった。デビュー以来、日本タイの15戦連続KO勝利を挙げた比嘉にとって、KO勝利を目指した試合だったが「フライ級以上に、相手を見てしまう場面が多かった。今の内容では(世界王者は)厳しい」と試合後、いつもの笑顔は消えていた。

 相手はアマチュアの高校時代に、2度敗れた堤聖也(角海老宝石)。距離を取りながら左右をスイッチするなど、手数も多い選手だ。「スピード、パワーともに練習から問題はなかった」。フライ級以上にレベルアップを確信していた比嘉は序盤、相手の出方を見ながら左ストレートやボディーを中心にガードの緩い部分を着実に決めていく。ただ、堤も比嘉のガードをかいくぐり力強いストレートを決めるなど一進一退の攻防が続いた。

 「自分がポイントを取っていると緩みがあった」。5、8回と左フックや右ストレートなどコンビネーションを決め、手応えもあった。だが、最後まで決めることができず最終回のゴングが響いた。「倒すボクシングができなかったのは今後の課題。勝ってきた試合以上に、覚えている」。バンタム級の世界王者を目指す上で厳しい船出となったが、得るものも多かったようだ。

 プロデビュー当時から比嘉とタッグを組む野木丈司トレーナーは「大吾はKOが宿命のボクサー。倒せなければ負け。今後の修正点は多い」と力強く前を見据え、再びKO勝利を積み重ねることを強く誓った。
 (上江洲真梨子)


▽バンタム級10回戦

比嘉大吾(Ambition) 引き分け 堤聖也(角海老宝石)

▽スーパーバンタム級8回戦

大湾硫斗(Ambition) TKO5回1分26秒 岸根知也(ミツキ)