<金口木舌> 大腸がん検診


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 「腹を割って話す」という言葉がある。心の内をさらけ出して話すと、スッキリして気持ちがいい。また「物言わぬは腹ふくるるわざなり」という言葉もある。言いたいことを言わないでいると、ストレスがたまり、胃腸にも良くない

 ▼沖縄では大腸がんの死亡者数が肺がんに次いで多い。ところが、大腸がん検診の受診率は全国に比べて低い。「症状がないから」と検診を受けず、手遅れになっていないか。早期発見、早期治療の定着が急務だ
 ▼通常大腸がん検診は、便潜血検査で大腸内の出血を調べ、陽性なら全大腸内視鏡検査などの精密検査を受ける。日本は内視鏡先進国で、全国で高度な診療が受けられる。恵まれた環境を有効に活用したい
 ▼一方で検診は「嫌だ」「おっくうだ」という声もある。確かに便を採取したり、肛門から細長い管状の内視鏡を入れたりするのには抵抗がある。検査自体にストレスを感じる人も少なくないだろう
 ▼最近、沖縄の長寿県転落が報じられた。長寿転落の要因と大腸がんの原因は重なる部分が多い。長寿転落の主因の一つと考えられる肥満の解消が大腸がん対策にもなり、長寿回復につながるだろう
 ▼管が腸内を巡るのは気持ちのいいものではない。だが命には代えられない。大腸に限らず気になる症状があれば早めに医者にかかることだ。先送りや根拠のない過信は禁物だ。