<金口木舌>高みを目指す歩みに「夢の力」


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 元旦、「今年こそは楽しく健康に」とスポーツの目標を立てた。1カ月が過ぎ達成は早くも見込み薄だ。諦めが頭をよぎるが、この選手から「努力不足」と一喝されそうだ

 ▼スキージャンプの葛西紀明さん。41歳で迎えるソチ五輪は7度目となる最高の晴れ舞台だ
 ▼10年以上前の宮古島。合宿中に招かれた中学校でのトーク会でこう語った。「小さいころは体が弱かった。この競技に出合い丈夫になった。負けない気持ちが世界での勝利につながる」。細身の体に柔らかい語り口。だが最も伝えたい言葉だったのだろう。強い意志を持つことの大切さを説くまなざしは揺るぎないものがあった
 ▼県内にも一人、衰え知らずのベテランがいる。陸上短距離の譜久里武さん42歳。昨年10月の世界マスターズ選手権で年齢別100メートルの銀メダリストだ。選手としてピークを過ぎてからも国体や県民大会で活躍し続けるのは、まさに努力のたまもの
 ▼一度、一線を離れてからの復活だが、努力をすれば記録が伸びるという陸上の楽しさを取り戻したい一心だという。子どもらへの陸上教室はその原点を互いに確認し合う場か
 ▼常に高みを目指す歩みには「夢の力」を感じる。40代は世間的には立派なおじさんだ。「不惑」の境地には程遠いわが身だが、同世代としてここは一つ、両選手の姿を鑑(かがみ)としてわが身に活を入れたい。