<金口木舌>外国人と警報


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 ペルーからうるま市に移り住んだ新垣清一さん(42)は台風8号襲来で戸惑った。次々発表される気象庁の特別警報と市町村の避難勧告エリアメールの多さにまずおののいた。知り合いに、いくつかのメールの内容を教えてもらうので精いっぱい。不安だけが募った

▼「何か大変なことが起こりそうだ」とは分かった。だが、読めないとあってはなすすべもない。コザインターナショナルプラザで多言語アドバイザーを務め、日常会話も堪能な新垣さんですらこうである
▼「メールは漢字も多いし文も長いので見なかった。そもそもトクベツケイホウって何?」。外国人や県系人の多くは基本的な気象用語をまず知らない。新垣さんと同じ思いをした人は少なくないはずだ
▼県統計課によると、米軍人・軍属を除く県内在住外国人は8890人(6月1日現在)。県系移住者を含めれば、日本語読みがおぼつかない人はかなりの数に上るだろう。その人たちへの対応が抜け落ちている
▼新垣さんは望む。「せめて短文の英語で流してもらえれば」。沖縄市防災課が「(外国語発信に)対応しなくてはいけない」と理解を示していることが心強い
▼台風10号が先島をうかがっている。台風はまだまだ来る。人の安全に関わることにはできる限りの対策を取りたい。まずは県を挙げて英語での呼び掛けに取り組みたい。