<社説>県議選まで2カ月 活発な政策論争求めたい


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<社説>県議選まで2カ月 活発な政策論争求めたい
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 任期満了に伴う県議会議員選挙(6月7日告示、同16日投開票)まで、16日で2カ月となる。本紙の調べでは定数48に対し3月15日現在で68人が立候補を予定または検討している。沖縄が抱えるさまざまな課題に対し、政策論争を活発化させ、有権者の選択につなげてほしい。

 今回の県議選は、2期目の玉城デニー県政の中間評価にもつながる。選挙後の与野党構成が大きな焦点となり、今後の県政運営にも影響を与えることになる。
 選挙戦では、辺野古新基地建設問題が引き続き争点となりそうだ。県と国の対立が続く中、軟弱地盤の設計変更申請を巡る代執行訴訟で県は敗訴。国土交通相が県に代わって承認した。埋め立て工事が進む中、改めて県民の意思表示の機会となりそうだ。
 急速に進む自衛隊配備強化の是非も問われる。与那国島、宮古島に続き2023年3月に陸上自衛隊石垣駐屯地が開設、各地で陸自のミサイル部隊配備も進む。一方で、うるま市石川の陸自訓練場整備計画は地元や党派を超えた反対により撤回された。自衛隊配備強化に関する立候補予定者の姿勢に注目したい。
 有権者が注目するのは物価高騰対策であろう。4月には食品約3千品目、県内の一部路線のバス運賃が値上げ、沖縄電力の電気料金も4月検針分から値上がりする。一方、23年の県内の実質賃金は前年比5・5%減で最大の下げ幅となった。マイナスは3年連続だ。県内でも賃上げの動きはあるが、物価高騰に追いついていないのが現状だ。各業界では人手不足も顕在化している。これら課題解決に向けた実効性のある政策の提示を望みたい。
 依然として課題となっているのは「子どもの貧困」対策だ。21年度、22年度の沖縄子ども調査によると、調査対象の小学5年、中学2年、高校2年で困窮世帯の割合が増加している。コロナ禍の影響を受けた経済的に厳しい世帯に、物価高騰が直撃している。経済対策と合わせ、子ども支援でも効果的な政策を打ち出してほしい。
 防災対策も県民の関心事だ。4月3日には県内各地に津波警報が出された。本紙の調べでは約2万6600人が避難した。今年1月の能登半島地震のように、災害はいつ発生するか予測できない。島しょ県である沖縄の災害対策は十分か、政策論争を通じて防災対策の充実や意識啓発につなげてほしい。
 国政では「政治とカネ」の問題が表面化し、政治への信頼を揺るがす事態になっている。県議選においても各立候補予定者には、信頼回復に向けた取り組みを求めたい。
 このほかにもさまざまな問題や地域ごとの課題が山積している。沖縄の未来を切り開くためにも、有権者は立候補予定者の政策を比較・吟味し、6月の県議選で一票を投じてほしい。