ミャンマー改革 民主的に国家再建を


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 現職の米大統領として初めてミャンマーを訪問したオバマ米大統領がテイン・セイン大統領と会談し、民主化の全面支援を約束し、改革推進を促した。ミャンマーがこれをてこに民主的に国家再建をやり遂げるよう願ってやまない。

 ミャンマーは、1988年のクーデター以降の軍事的圧政、2010年3月の軍事政権の民政移管、その後のテイン・セイン大統領の対話路線への転換を経て、民主化の道を歩んでいる。今年4月の連邦議会補選で民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんが率いる野党、国民民主連盟(NLD)が勝利し、民主化加速へ国際社会の期待が一段と高まっている。
 オバマ氏のミャンマー訪問は、国際社会の同国への関心の高まりを象徴するもので、今後、各国の投資、貿易など経済交流が活発化するのは間違いない。ミャンマーは国際社会と協調し、疲弊した国民生活や経済を立て直してほしい。そのためにも全政治犯釈放などさらなる民主化も不可欠だ。
 米政府は既に対ミャンマー制裁として科してきた同国製品の輸入禁止措置の大半を解除したという。
 日本政府は87年以来凍結していた円借款を来年の早い時期に再開し、500億円規模の円借款を実施する方針を固めた。円借款は経済特区のインフラ整備や火力発電所の改修などが対象とされる。
 これまで中国との結びつきが強かったミャンマーだが、オバマ氏訪問を地元メディアが「歴史的な訪問」などと好意的に報じていることから、今後は米国はじめ各国との外交関係も正常化するだろう。
 ミャンマーは軍の影響力が強く、軍内部に依然として既得権益を失うことに反発し改革に抵抗する守旧派が存在すると言われる。
 だが、スー・チー氏ら改革勢力が求める国軍の優位性を規定した憲法の改正や少数民族との和解、法治国家確立などが国民的支持を広げる中、これに力で逆行することは時代錯誤であると自覚したい。
 経済がグローバル化した時代に、国際社会から孤立しては経済成長も国の安定も維持できまい。国際的孤立は国民のためにも有害無益だと、テイン・セイン政権も軍部も自覚すべきだろう。
 国際社会はミャンマーを根気強く支援したい。米中には支援の主導権争いを演じ、ミャンマー国民を翻弄(ほんろう)しないよう節度も求めたい。