外間守善氏死去 沖縄学の一時代築いた

 沖縄学の第一人者で、沖縄最古の歌謡集「おもろさうし」などの研究で知られる外間守善氏が亡くなった。87歳だった。

 法政大教授や同大沖縄文化研究所所長、沖縄文化協会会長などを務め、言語や文学、民俗など幅広い分野の研究を通じて沖縄学の発展に尽くした。大学を退職後の1995年には私財を投じ、沖縄学研究所を都内に開設。後進の指導にも情熱を注いだ研究者人生だった。
 88年度には「おもろさうし」など古代南島歌謡を基礎資料に琉球文化の源流を解明しようとする研究が「他の追随を許さない業績」と評価され、第6回東恩納寛惇賞(琉球新報社主催)を受賞した。
 研究業績は、歌謡集「おもろさうし」の現代語への翻訳出版、口頭伝承の神歌をフィールドワークで集めた「南島歌謡大成」を編さんなど枚挙にいとまがない。
 研究の成果を堪えず世に問う姿勢は、若手に刺激を与えた。著書は『おもろさうし』のほか、『沖縄の歴史と文化』『沖縄学への道』、自らの沖縄戦の体験をつづった『私の沖縄戦記―前田高地・60年目の証言』など多数に上る。
 外間氏は戦後、国学院大国文学科を卒業。その間、アイヌ語研究で著名な言語学者、金田一京助氏や、沖縄言語研究者の服部四郎氏らに師事した。
 おもろ研究は、沖縄学の父・伊波普猷をはじめ仲原善忠、比嘉春潮、金城朝永ら沖縄出身の各氏によって進められていたが、外間氏は仲原氏の遺志を継いで「校本」「辞典」「索引」「校注」を完成させた。これらがもし未完のままなら、今日の沖縄学は違った風景を醸し出したかもしれない。その功績をあらためて、たたえたい。
 しかし、学問の学問たるゆえんは、建設的な批判が許される点にある。後進の研究者には、外間氏の研究業績の恩恵にあずかるだけでなく、氏の研究を検証し水準をより高めることで、沖縄学の新しい地平を切り開いてもらいたい。
 晩年の外間氏は、沖縄師範学校在学中に沖縄戦に動員された体験を踏まえ、講演活動でイラク戦争などに反対するとともに、憲法9条の大切さを説いて回わることもあった。
 紛争が絶えない21世紀に学問は何ができるか。外間氏の研究者としての良心からくみ取るべきことも少なくないだろう。