シートベルト着用 車社会の沖縄こそ真剣に


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 面倒くさい、などといった理由で必要な対策を怠り、最悪の場合命を失うことがあっては悔やんでも悔やみきれない。

 高速道路を走行する自動車の後部座席のシートベルト着用率は2012年は65・4%で、前年から1・9ポイント上昇したが、沖縄は31・6%と全国最下位だったことが警察庁と日本自動車連盟(JAF)の調査で分かった。一般道でも11・0%(全国33・2%)と最も悪かった。
 警察庁によると、後部座席でシートベルト(チャイルドシートを含む)非着用の場合、事故での致死率は着用時の3・2倍になる。自らできる対策には万全を期し、大切な命と体を守りたい。
 道路交通法が改正され、自動車の後部座席でもシートベルトの着用が義務づけられてから4年。後部座席着用率が高速で40%以下なのは沖縄だけで、一般道で20%以下なのは2県だけだ。
 命を守る取り組みが疎(おろそ)かにされてはいけない。災害対策などと同様に、社会全体で推進したい。
 後部座席でシートベルト非着用のまま交通事故に遭った場合の危険性は3点指摘されている。(1)自分自身への大きな被害(2)車外放出(3)前席同乗者への加害―だ。
 後部座席でシートベルトをしていれば、前席やドア、天井などにたたきつけられる危険性が低くなる。車外に放出されると、アスファルトにたたきつけられたり、後続車両に巻き込まれ多重事故を招いたりするなど、極めて危険だ。後部座席の人が前方に投げ出されると、前席の人をシートとエアバッグに挟む危険性も高まる。
 警察庁によると、自動車乗車中の致死率(死傷者に占める死者の割合)は、全国では2001年の0・50%から11年は0・27%に低下している。これをシートベルト着用有無別で見ると、11年の着用者の致死率は非着用者の14分の1で、シートベルト着用が交通事故の被害軽減につながっていることが分かる。
 沖縄の場合、高速道路での運転者のシートベルト着用率は98・0%(全国99・5%)、助手席同乗者は94・9%(同97・7%)と全国平均に近い。後部座席の着用率ももっと向上できるはずだし、ぜひやらなければならない。
 シートベルトの着用は心も引き締め、運転マナーを向上させて交通事故も減らせる。車社会の沖縄だからこそ、真剣に取り組みたい。