男女共同参画 機会平等に向け知恵絞ろう


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 県内の企業51社を対象に実施した課長相当職以上の女性管理職の割合が「ゼロ」の企業が半数近くの43・1%(22社)に上ることが帝国データバンク福岡支店の調査で分かった。「5%未満」が17・6%(9社)、「10~20%」が15・7%(8社)で、2割未満の企業は76・4%の39社に上る。県内企業の女性管理職の登用率はあまりにも低いと言わざるを得ない。

 政府が発表した成長戦略では2020年までに女性が指導的地位に占める割合を30%以上にすることを掲げている。05年の第2次男女共同参画基本計画にも明記しており、日本が国際的に宣言した約束だ。各企業、経済界は役員・管理職への女性の積極的な登用を真剣に考えるときだ。
 また県内市町村議会の女性議員の割合も7月末時点で、6・5%にとどまり、全国平均の11・6%より5・1ポイント低く、14年前の1999年7月から1・4ポイントしか上昇していない。同年に男女共同参画社会基本法が施行されているが、県内で政治への女性参画が足踏み状態にあるのは由々しき事態だ。
 国連が09年にまとめた政治経済への女性参画指数で、日本は109カ国中57位にとどまっている。世界の中でも日本は中位以下で、さらに沖縄県は全国平均を下回っている。世界の中でも女性参画が立ち遅れている現状を深刻に受け止めるべきだろう。
 女性管理職が少ないのは、女性が働きやすい環境が整備されていない状況も一因に挙げられる。3月の労働政策研究・研修機構の調査では、課長以上に昇進したい一般従業員は男性が5~6割、女性は1割程度と大きな開きがある。昇進を望まない理由として女性は「仕事と家庭の両立が困難」などを挙げた。男性の育児、家事の積極参加が不可欠だ。
 政策的な誘導も必要だ。政府の「若者・女性活躍推進フォーラム」は5月、仕事と子育ての両立支援に取り組む企業に助成金を支給したり、税制上の優遇措置を講じるよう提言をまとめた。実効ある政策を着実に実現してほしい。
 男女共同参画社会基本法は、男女が均等に政治的、経済的、社会的、文化的利益を享受することができる社会の形成を目指している。「夫は働き、妻は家庭」などとする古い思考から脱却し、機会平等を保証する社会の実現に向けて知恵を出し合いたい。