秘密法強行姿勢 解散し民意を問うべきだ


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 特定秘密保護法案について自民・公明の与党は衆院に次いで参院でも強行採決の構えを見せている。

 各種の世論調査で法案は賛否が二分している。国民の論議が定まらない中で拙速に可決成立させるのは許されない。
 この法は国民の「知る権利」を脅かし「表現の自由」を奪うと指摘されている。国民生活を基盤から揺さぶる法案だ。これほどの重要法案なら、その是非を正面から国民に問うべきではないか。少なくともいったん廃案にし、国会を解散して国民の審判を仰ぐべきだ。
 11月25日、福島市での地方公聴会で首長や学者ら7人が意見陳述したが、全員が懸念や反対を表明した。だが衆院はその直後、与党とみんなの党で採決を強行した。
 参院送付後も同じことをしようとしている。12月4日にさいたま市で公聴会を開いたが、5日に委員会で強行採決の予定というから、公聴会でどんな意見があろうと取り入れるつもりがないのは明らかだ。アリバイづくりと言われて反論できるのか。むしろ解散で信を問う一方、全国で公聴会を開き、国民的論議に供するべきだ。
 法案は国会以外の、一部野党との協議の場で微修正を施したが、政権与党や官僚の望むままに秘密指定できる指定の恣意(しい)性はいささかも揺らがない。不正の内部告発への圧力や過剰指定の恐れなどの懸念も積み残しのままだ。何より、秘密指定の繰り返しで政策決定の検証が永久にできなくなる以上、国民主権が根底から崩れるのだ。
 担当大臣の答弁も前言撤回や苦しい言い逃れの繰り返しだ。論議が尽くされたと言うには程遠い。こんな状態で強行採決を繰り返すのは、国会の「自殺行為」だ。
 確かに国民は先の総選挙で自民党を大勝させ、国政を委ねた。だがそれは決して「白紙委任状」を与えたわけではない。
 先の総選挙の自民党政策パンフレットには「情報漏えいなどへの対策を強化する」とある。これで法案の具体的中身が想像できる人はいるまい。
 「政権公約」でも、「情報保全に関する法整備」「秘密保護関連法令の法的整備」と個別に1行書いてあるだけだ。これで法案を国民が容認したとは言えない。
 国連の人権高等弁務官も懸念を表明した。その「法整備を急ぐべきではない」という発言を、政府は重く受け止めるべきだ。