知事密会 県民への二重の裏切りだ


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 仲井真弘多知事が22日夜、東京都内のホテルで菅義偉官房長官、自民党の石破茂幹事長と極秘に会談し、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設問題で意見交換した。

 菅、石破両氏が事実を認め、県幹部も「菅氏側から公表してほしくないという話があった」と述べ、会談があったことを明確に認めた。
 ところが会談後、知事は記者団に「会っていない」と否定した。24日の県庁での記者会見でも「私は彼らに会ったつもりはありません」と虚偽の説明をした。
 報道陣に嘘(うそ)をつくことは、報道を受け取る県民をだますに等しい。平然と嘘をつく知事であれば、今後、県議会答弁も信用できまい。もはや知事は辞職を免れない。自らの言動に自信があるのなら、選挙で堂々と県民に信を仰ぐべきだ。
 極秘会談では、名護市長選で辺野古移設阻止を掲げる稲嶺進氏が当選したことを踏まえ、菅氏が「市の権限は限られており、移設を進めたい」と述べ、石破氏は「辺野古移設を進める党の方針に変わりはない」との意向を伝え、知事に理解を求めたという。
 これに対し、知事が反論した形跡はない。会談自体を否定するのだから、よほど後ろめたいことがあるのではないか。知事が説明責任を果たさないのだから、県民は知事が県内移設の国の方針を丸のみしたと受け取めるほかない。
 仲井真知事はまた、会見で耳を疑うような発言もした。昨年1月に県内41市町村の全首長、議会議長、県議会議長らが連名で普天間の県内移設断念やオスプレイ配備中止などを求め首相に提出した「建白書」の意義について記者に問われると、「記憶があんまり定かじゃない」とコメントを避けた。
 語るに落ちるとは、こういうことを言うのであろう。知事は「建白書」で示された民意に背を向ける自らの不明を恥じるべきだ。
 知事の埋め立て承認後に琉球新報などが行った県民世論調査では、県外・国外移設と無条件閉鎖・撤去を求める声は合わせて73・5%に上った。埋め立て承認の判断には、61・4%が不支持だった。
 知事がこうした民意を代弁せず、政府の御用聞きのように振る舞う姿を見続けるのは耐えがたい。
 埋め立て承認と密会で、知事は県民を二重に裏切った。もはや県民代表を名乗る資格はあるまい。自ら進退にけじめをつける時だ。

→動画 仲井真弘多知事定例記者会見 1月24日
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