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「心にしみた」 演劇「母と暮せば」沖縄初公演 生きることの尊さ、熱く表現 


「心にしみた」 演劇「母と暮せば」沖縄初公演 生きることの尊さ、熱く表現  「母と暮せば」を演じた富田靖子さん(左)と松下洸平さん(こまつ座提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子

 劇団こまつ座による、井上ひさしさん原案の演劇「母と暮せば」の沖縄公演(琉球新報社主催)が3日、糸満市観光文化交流拠点施設シャボン玉石けんくくる糸満であった。沖縄初公演。母役の富田靖子さんと息子役の松下洸平さんの熱演に、大入りの客席から拍手が絶えなかった。上演は4日もある。チケットは完売。

 米軍の原爆投下から3年後の長崎市で、助産婦だった伸子の元に原爆で亡くなった息子・浩二が現れる。1時間半にわたる二人芝居で、戦争の醜さと生きることの尊さを表現した。観客は緩急つけた演技に圧倒され、共に泣き笑いした。

 夜公演後の舞台あいさつで富田さんは「みなさんの胸に届いたものがあれば」と笑顔を見せた。5年前に演劇「木の上の軍隊」でも沖縄に訪れた松下さんは沖縄公演に「楽しみと不安があった。みなさんの笑顔に救われた」と語った。

 初めて演劇を見たという宮部利奈さん(49)=糸満市=は「父を亡くしたので自分の思いを重ねて見ていた。心にしみた」と語った。

(田吹遥子)