演劇「母と暮せば」の沖縄公演(琉球新報社主催)が8月3、4の両日、糸満市観光文化交流拠点施設シャボン玉石けんくくる糸満で開催される。井上ひさし主宰の劇団こまつ座による演劇で、沖縄では初開催。長崎で暮らす女性と原爆で亡くなったはずの息子とのやり取りを描く。母・伸子役の富田靖子と息子・浩二役の松下洸平に、沖縄公演に向けた思いを聞いた。今回は松下のインタビューを紹介する。
(田吹遥子)
―今回は同じキャストでの再々演になる。富田さんとの2人芝居について。
「何度同じセリフを重ねても、常に新鮮なお芝居をなさる富田さんとご一緒し、本当に勉強になります。2人芝居には集中力が必要だと思っていて、特にこの芝居は暗転もなく、舞台に立つと気を抜く時間は1秒もないです。体力のいる芝居ですが、富田さんの優しいお声と力強さに助けてもらい今回も折れることなく芝居ができています」
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―長崎での原爆をテーマにした作品で、物語には戦争の爪痕が多く出てくる。演じる上で大事なことは。
「経験したことのないことをいかにリアルに表現できるかを大事にしています。浩二があの日、原爆で命を落とした瞬間に見た景色や母とのやりとりなどを通して、時代背景や親子の絆を感じてもらえれば」
―沖縄公演の意義は。
「沖縄は、日本の戦争を語る上で忘れてはならない場所の一つだと思います。以前、こまつ座の『木の上の軍隊』に出演したことがありますが、その作品でも沖縄公演をしました。戦争体験のない世代が作品のモデルとなった場所で公演を行うことがいかに重要で、どれだけ想像を駆使しても理解することはできない、けれど芝居を通してその土地の方々に寄り添おうとする気持ちが大切なんだということを知りました」
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―沖縄のファンへメッセージを。
「沖縄で『母と暮せば』を上演できること、本当にうれしく思います。戦争の悲惨さだけではなく、笑顔で暮らすことの尊さや家族の絆を描いた作品です。たくさん笑ってたくさん泣いて、この作品でしか体験できない温かい気持ちになれると思いますので、劇場でお会いできるのを楽しみにしています」
公演は、3日午後1時と同5時、4日午後1時。入場料は一般9千円、学生割引(小中高生)7千円(当日各千円増し)。全席指定、未就学児入場不可。開演後入場制限あり。問い合わせは琉球新報社統合広告事業局、電話098(865)5255(平日午前10時~午後5時)。