<南風>「沖縄から世界へ」の思い


社会
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 2015年11月にプロボクシング興行「沖縄から世界へMUGEN挑」シリーズがスタートした。県内外で興行してきたが、県内若手ボクサーの育成には沖縄で定期的な試合の機会を作ることが必要だと感じ、この時より年3回の興行開催を目標に掲げている。もちろん、最大の目的は、沖縄から世界チャンピオンを「再び」誕生させること。

 「沖縄から世界へ」は、平仲信明会長が現役時代から発信していた言葉。地方ジムからチャンピオンになることは無理といわれた時代。海外からチャンピオンを招へいしタイトルマッチを行うには相当な資金力が必要とされるため、チャンピオンの多くが首都圏の大手ジムから誕生していた。

 そんな中、地元沖縄のジムから世界を目指すことにこだわったのは「沖縄にいても世界チャンピオンになれることを証明したい」との強い思いがあったからだ。さまざまな不利な状況にひるむことなく、見事敵地で世界タイトルを奪取し、自らの信念を貫き「沖縄から世界へ」を実現した。

 現在、県内にはプロボクシング協会加盟ジムが六つあり、各ジムに数名のプロボクサーが在籍している。階級制のボクシングではスパーリング相手も限られるため、選手同士が出稽古で協力し合いながらトレーニングに励んでいる。

 MUGEN挑シリーズも次回で15回目。この間、東洋太平洋タイトルなど地域タイトルマッチも7回行った。世界挑戦への道はまだ遠いが、沖縄のボクサーの育成は着実に進んでいる。

 沖縄ボクサーの系譜では、唯一地元沖縄のジムから世界王座を獲得した平仲会長。会長の掲げる「沖縄から世界へ」を再び実現するため、私たち自身も地方不利を打破し、沖縄での興行継続に挑み続ける。その舞台で世界を目指すオキナワンボクサーたちの挑戦に熱い声援を送ってほしい。

(平仲絢子、平仲ボクシングスクールジム マネージャー)