<南風>地域密着マルシェのカタチ


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 最近、商業施設や催事会場などで、よくマルシェという言葉を耳にする。私が企画したイベントでも、何度かマルシェと言葉をイベントタイトルに用いている。マルシェとは、「市場」を指すフランス語で、フランスでは市民が食材や日常品の買い物をする場所として定着している。

 そのフランスのマルシェをイメージしたイベント企画が、日本で一気に広まった。マルシェは、店舗や企業よりも、個人の出店が多く、採りたての新鮮な野菜や果物、手作りのお菓子や雑貨などを販売する。

 テナントで実店舗を持つよりも、ずっと安い出店料で多くの人に商品を見てもらう機会となり、商品の魅力を直接伝えられる。ものづくりの励みになる言葉をもらうことも多いだろう。

 また、消費者の立場からもスーパーや量販店で見かけない「こだわりの逸品」に出合うことができて、直接生産者の話を聞くことができるので、安心、安全で新鮮な商品を選ぶことができる。大量生産の製品ではなく、高価であっても、いい物を求める、最近の消費志向にも合っている。

 さらにマルシェは屋外で行われることが多く、同時にレジャー気分を味わえるのも魅力の一つだ。

 しかし、日本では、イベントとして、不定期に単発で実施されることが多く、フランスのように日常ではなく、非日常のレジャーとして広まっている傾向があり、マルシェとしての文化が広まりにくい。

 しかし、マルシェを商業施設化した、うるま市のうるマルシェや、各地の道の駅が、沖縄では地域密着型の新しいマルシェの形として根付き始めている。ここでしか買えない物、一番新鮮なものがそろう場所として、日常的に足を運ぶ人が増えている。生産者と消費者を結ぶ沖縄のマルシェとして、今後も注目していきたいスポットだ。
(下地友香、ちゅらグルメ編集長)