<南風>社会との向き合い方


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 47年間の社会生活を通して、自分の生き方を獲得してきた。そして、それは今でも獲得し続けている。子どもたちが社会と向き合う時に、親として彼らと一緒に彼らの社会との向き合い方を考える際に。

 長女が4月から高校生になり塾に行きたいと話していたが、塾の面接で「ただ大学に行くのではなく、どんな仕事に就きたいのか、教授がそうした企業に紹介できるような接点があるのか調べることが必要」と言われたらしい。それに対して彼女は不服そうである。

 彼女にとって大学とは、興味関心があることの学びを深める場所であって、就職のための通過点ではないらしい。私もそれに同感であることを伝えた。今で仕事なんて決める必要はない。好きなことを学び、4年間の学生生活の中で、先生や友人、バイト先の先輩などからさまざまな刺激を受け、今よりも見識や体験が深まってから仕事を考えれば良いと伝えた。

 4月から中学生になった長男は、中学卒業の年を迎え働けるようになったら、バイトをしてお金をためて海外一人旅をしたいという。必ずしも高校に行かなくてもいいだろう。実際に自分で世界を見て周り、何かの学びや自分のやりたいことが見つかるかもしれない。そこに向けて、私が学生時代の時のバックパッカーの経験を生かして、父親と海外2人旅などを企画して行こうと伝えた。

 こうしてみると、どうやら私のキーワードは「体験」らしい。そうした体験の中から、選択し学習していくことが生きる力だと考えているようだ。しかし、私にとってはそうであっても、彼らにとってこれが正解かは分からない。将来、「レールを敷いてほしかった」と思うかもしれない。そうであれば、そうした選択の自由は時として酷なものだと学び、社会と向き合っていくのだろう。
(神谷牧人、アソシア代表)