<南風>療育とは


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 最近「療育」という言葉がよく聞かれるようになってきた。しかし実際にはどのようなものか、あまり知られていない気がする。

 保護者の中には、障がい名や療育の必要性などを知らない方もいる。「今、通っている保育園をやめた方がいいの」と質問したり、「多動って言われたけど3歳って普通、ウーマクーじゃないの。男の子なら当たり前じゃない?」と不満げな口調で尋ねる方もいる。特に、境界線上にいる子の保護者の戸惑いが多い。

 「療育」には、保育の専門性と障がいに対する理解が必要であり、それを支える医療と連携したものが「療育」と呼ばれる。

 まず、子供の行動や言葉、しぐさなど、月齢の発達的特性と、個々の障がいを考慮した視点から子供を理解し、どの方法で「できる」を伸ばすのかを考える「個別支援計画書」が必要である。計画の後、子供の変化を捉える「評価」と、支援の継続や見直しを考える「モニタリング」がある。この一連の流れに対する理解がいまひとつ足りない管理者や職員、保護者もまだいるが、これらは「療育」に欠かせないとても重要なものである。

 療育訓練は事業所で特色や違いがあるが、カードや絵、写真などを使う方法や、コミュニケーションの発達を促す方法などがある。また身体機能の訓練では五感を刺激する水遊び、砂遊び、リトミックなどがある。しかし同じ体験でも、支援者が教育的視点を持つか持たないかで、子供の成長に大きな差が出る。

 児童デイサービス事業所が年々増え、「療育の場」が多くなっていることは喜ばしいが、肝心の「療育」の技術者が少なく、中には無資格、児童や障がい児との経験の無いスタッフ・管理者がいるのも事実。

 「療育」のための人材育成は急務であり、とても重要な課題だ。
(名幸啓子、障害児サポートハウスohana代表理事)