<南風>病児家族の生活を守る


社会
<南風>病児家族の生活を守る 宮城雅也、県小児保健協会会長
この記事を書いた人 Avatar photo 外部執筆者

 2006年、こども医療センターが設立されることになり、署名運動などに貢献したこども病院設立推進協議会は、その役目を終え、認定NPO「こども医療支援わらびの会」に生まれ変わった。17の親の会で組織され、県民からの寄付で運営されている。主な事業は(1)子ども病院ボランティア養成講座の開催(2)病児家族のピアサポート相談窓口(3)遠隔地からの病児家族の滞在施設「がじゅまるの家」運営―である。

 全国の子ども病院では病院ボランティアが必須の存在だ。病院という限られた空間に地域の風を吹かせ育成環境を整えるのが役目である。病児家族が病気と立ち向かう活力も与える。一般のボランティアとは違い、病院ボランティアは子ども医療に対する知識とナイーブな家族に対する接遇を習得する必要がある。そのため、わらびの会では養成講座を毎年2回開き、子ども病院の理念、知識、接遇などの講義実習を行い、終了証を授与している。

 病院ボランティアの本格的導入は沖縄でも初めてで開設当時は理解する病院スタッフも少なかった。だが患児家族の支援活動で成果を上げると病院より委嘱状を交付するまでになった。ボランティアが病院スタッフになった瞬間である。

 同じ患児家族同士が支え合う「ピアサポート」は重要な国の支援事業である。「わらびの会」は多くの親の会で組織されており、すぐに導入できた。難病診断の告知直後は最も衝撃を受けるが、その時、病児家族が最も必要とする相談相手は同じ難病の家族である。

 ピアサポートの概念がまだ普及していないので、病院側から宣教運動と勘違いされたこともあった。そこで誤解を招かないよう、ピアサポートを担う親たちのために、定期に県外からの講師を招いて実技研修を行い、適正な相談支援に発展し感謝されている。

(宮城雅也、県小児保健協会会長)