<南風>人事評価の目的は?


社会
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福島知加

 ここ数年「人事評価」に関する問い合わせが増えている。通常人事評価制度は適切な処遇や人材育成、動機付けの目的で導入されている企業がほとんどだが、運用面でなかなかうまくいかないとの声も聞こえる。弊社も同時進行で企業8社の人事評価制度の構築や再構築に携わっているが、その背景には本来の目的に近づけたいとの依頼が多い。なぜ人事評価がうまくいかないのか。大きな理由と解決方法を一緒に考えたい。

 人事評価の運用は初期の目標設定と期末の評価に重点を置くイメージがある。制度上、ここだけが大事と見えてしまうことがあるが、実にもったいない。評価の提出が目的なら、このパワーバランスでもいいが、人材育成や適切な処遇が目的なら、評価対象期間にメンバーが立てた目標を達成できるよう上司は観察しサポート・育成する必要がある。

 ただ頭では分かっていても、部下育成は日々の業務の中で優先度が下がってしまうこともあると思う。では、どうすればいいのか。方法はいろいろあると思うが、まずは人事評価導入の目的について認識を統一し、管理職が育成を行う価値の醸成、効果的なサポートの仕組み化、管理職の負担軽減について人事だけでなく管理職も交えながらアイデアを出し合うことをお勧めしたい。

 例えば、クライアント企業の事例でいうと、管理職の人事評価項目の「人材育成」に関する達成基準を見直し、ウエートを増やす企業もあれば、月1回程度、人材の成長や貢献してくれている点を報告し、さらに成長してもらうための取り組みを発表する会議を設けている企業もある。目標・評価面談の効果を上げるために考課者だけでなく全社的に目標設定・評価研修を導入し、面談の時間短縮を図る企業もある。運用の参考になればうれしい。

(福島知加、ワダチラボ代表取締役)