<南風>夏の終わりに


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 私が「南風」のコラムを担当してからはや2カ月、もう9月に入りました。今年の異常気象は台風の発生が少なく、8月後半の台風も沖縄地方(大東島を除く)に近寄らず、夏祭りやスポーツイベント(甲子園やインターハイなど)はほとんど影響なく開催することができ、盛り上がりました。

 これも私が不慣れな執筆活動をしているせいなのでしょうか。だとすると、これからのコンサートシーズン、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋(これはあまり関係ないですが)など、いろいろなイベントの開催に影響がないように、もう少し頑張って書いていきたいと思います。

 ところで、前回の「南風」で取り上げた「古楽」のコンサート「山内昌也&古楽アンサンブル ジョイントリサイタル」が先日開催されました。私は共演させてもらい、古楽器の柔らかで繊細な響きや、音楽様式の素晴らしさなどを堪能することができました。

 終演後、共演したトラヴェルソフルートの廣岡氏とバロックヴァイオリンのプレダ氏に、どうして「古楽」なのかと尋ねると、彼らは一つに「古楽器」の温かく柔らかな音色が好きだということ、そして、当時の演奏スタイルを可能な限り再現することで、その楽曲の本来の美しさをよみがえらせたいと答えました。

 その後は、テノールの山内氏と、古楽アンサンブル担当の私たちとで、声楽家や器楽奏者とではどちらが苦労が多いかについて話し込みました。器楽奏者は、楽器の維持管理や運搬に苦労すると言い、声楽家は声が楽器なので運搬の苦労はないが、声は楽器のように取り替えることができないので声楽家の方がもっと苦労している。というような話で盛り上がりました。

 そして、苦労はそれぞれ違うが、音楽をする喜びは、同じだということに話は落ち着きました。
(川崎達、沖縄弦楽指導者協会会長)