コラム「南風」 経験を経て新たな夢へ


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 先日、高校受験を控える地元の中学生5人と彼らの将来について話し合う機会があった。公務員を志望する一人の生徒以外は、誰も目標がなかった。現実の社会が彼らをそうさせるのか今を生きる大人として責任を感じた。

 私は小学5年の頃から、読谷村の西の空に飛ぶ飛行機を見るのが好きで、パイロットになるのが夢だった。しかし成績の悪さで、その夢は急降下(笑)。現実を直視する高校生になり、その後の夢は空港の地上職員から観光業へ。専門学校を経て地元読谷の旅行会社に入社、営業や添乗業務を行うツアーコンダクターになる。
 若い私を育ててくれたのは、当時の社長金城吉輝氏であった。未経験にもかかわらず19歳でいきなりハワイ添乗の業務を任せたり、修学旅行のチーフ添乗、旅行商品の企画、営業や経理業務・会社組織のノウハウなどを教わった。また人の情や道そして尊敬を学んだ。衷心より感謝します。
 社員3人の会社は20年余で60人近くまで増え、会社は発展成長を遂げた。しかし時代は団体旅行からパック旅行へ、窓口業務はインターネットへと変わり、旅行業界いや観光業界が変革の途へと移り変わり、会社はやむなく倒産、多くの皆さまに迷惑を掛けた。遅ればせながら心からのおわびと当時お世話になった皆さま方に御礼を申し上げます。
 会社倒産の翌年の平成20年にFMよみたんを創設。新たな夢は、生かされている自分ができる公共放送という業務を通して、これまでの恩を忘れずに、与えられた経験を生かし、微力ながら地域づくりなどで社会に貢献していくことだ。
 22年余りの多くの経験は過ぎていく時間と共に大きな財産になった。今は飛行機を電波とネットに変えて世界中へ読谷の夢を運ぶ。ツアーではなくラジオコンダクターってとこかな?
(仲宗根朝治(なかそねともはる)、FMよみたん代表取締役社長)