コラム「南風」 感謝を忘れず


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 師走に入り街はにぎやかだ。クリスマス、お正月と子どもたちの楽しみにしている行事が盛りだくさんだ。しかし、街中が華やいでいるこの瞬間も、どこかでおなかをすかせ、寂しい思いをしている子どもたちも多く存在している。

 昨年とある男性から相談を受けた。「ライブ活動で得た収益を子どもたちに支援している団体に寄付したい」と。子どもを支援している団体をいくつか紹介したが、男性が納得する取り組みは無かった。相談をやり取りする中で、複数の提案を行い、理想とする活動を一緒に作ることになった。「病気で療養中の子どもたちへ音楽とクリスマスプレゼントを届けよう」。その取り組みは、昨年に引き続き今年も開催することになり、子どもたちに今年も会うことができる。
 私が子どもの頃、貧しい家庭で育ったのでクリスマスプレゼントとは程遠い生活を送っていた。けれど、大人になって自分の子どもを含む多くの子どもたちにプレゼントを届けることができるのはとても光栄で幸せな気持ちになる。子どもの頃の自分が、誰かにしてもらいたかったことを第三者にしてあげることで、自分自身が癒やされているのかもしれない。
 今年1年を振り返ると、多くの人と出会い、多くの人たちに助けられてきたと感じる。年賀状の宛名を整理しながら、自分を支えてくれている人々の顔を思い出した。つらい生活を送っていた頃は、ひとりで必死に生きていると思っていたが、いまは違う。家族を含む多くの人たちに支えられて自分が存在していることがわかるようになった。
 来年も周りの人たちと一緒にさまざまなことにチャレンジして成長したいと思っている。最後に、南風で執筆させていただき有難うございました。これからも感謝の気持ちを忘れず頑張っていきたいと思います。
(田中美幸(たなかみゆき)、NPOおきなわ共育ファンド代表)