コラム「南風」 教育は三位一体


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 33年間の教師経験と3人の子育て経験を元に、感じてきたことを書き連ねた私のコラムも最終回です。結局、私が皆さんに伝えたかったことは、教育とは「人」を創ることに他ならないということです。特に幼児・初等・中等教育はそうです。それは、現場である学校だけではなく、家庭、地域の三者が連携してこそ成就し得ることなのです。どれが欠けてもいけません。

 近年は、この三者連携がなかなか難しい社会状況です。学校現場に身を置いてきた者として危惧するのは、「地域」と子どもの接点が小さくなっていることです。「地域の子どもは地域で育てる」ため、行政も学校と地域の連携を促す地域連携支援事業を進めていますが、多くの地域でいまだ連携が十分ではありません。学校と地域がそれぞれの役割を担い、連携することが大切です。近隣コミュニティーへの参加や自分なりに地域と関わりを持つことが求められます。
 一方、親に望むことは「子どもにとって一番の安らぎの場は家庭なのだ」という認識です。愛情豊かに育った子はどんなつらさも乗り越える心が育ち、人にも優しくできる子になります。また、家族の一員としての役割を分担させることで、自己責任の考え方が身につき、自立にもつながります。先生方に望むことは、情熱と使命感を持ち続け、子どもたちのために懸命に努めていただくことです。
 このような三位一体の環境で自立する「人」が創られ、その「人」が地域を支え、文化を育み、歴史を創り出すと信じます。明るい未来につながる教育の原点だと思います。
 半年間、多くの方々から激励を頂き、やり通せました。読者の皆さま、そして推敲(すいこう)と議論相手にもなってくれた夫、話のネタにされたわが子に深く感謝します。HNY、皆さま良いお年を。
(知念春美(ちねんはるみ)、前普天間第二小学校長)