コラム「南風」 新たなチャレンジへ


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 このコラムも今回でいよいよ最後となりました。少し専門的な話を書いてきましたが、ご理解いただけたでしょうか。どうか最後までおつきあいのほどを。
 これまでに何度か紹介したオーストリアのバイオリニスト・ローランド・ガレイユさんの1708年製ストラディバリウスですが、ぜひそれに近いバイオリンを製作したいと考えています。

まず、ガレイユさんを沖縄まで招待し、演奏会を開いて完璧に音源を録音します。それを元に製作します。知名御多出横では(1)演奏会を開ける方(2)ガレイユさんとコンタクトを取れる方(3)事務局スタッフをボランティアでできる方-を募集中です。
 なぜかというと、奇跡のスピーカーが完成したからです。フルレンジのスピーカー1個で20ヘルツから3万ヘルツまで再現できる夢のようなスピーカーです。世界広しといえども沖縄の知名御多出横にしかありません。
 録音に使うマイクは、国内メーカーが作ったBベロといわれるマイクをばらしてハンダをすべて取り除き、それをすべて溶接にしたオリジナルです。人間の鼓膜よりもはるかに薄い0・018ミリのアルミ箔も溶接で仕上げました。その性能たるや、はっきり言って地獄耳です。
 アンプは30年前に完成しています。残すはCDプレイヤーですが、それも解決しました。うちの250万円のセットに使うものでも、1万円程度の市販のCDプレーヤーで問題ありません。やっと4拍子がそろいました。完璧に録音して再生することが可能になり、ストラディバリウスのデータが取れれば、それと同じようなものを作ることができると考えています。
 これまでオーディオ研究一筋でやってきましたが、楽器製作という新たな分野へのチャレンジです。これも皆さまのおかげです。ありがとうございました。
(知名宏師(ちなひろし)、知名御多出横代表)