コラム「南風」 商店街を遊園地に


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 私は名護市の十字路を中心とする商店街に人を増やしたいと幾つかのプロジェクトに携わっています。実は「商店街を遊園地にしたい」とひそかに考えています。遊園地と言うのは「楽しい場所」の例えなのですが、誰もが心地よく過ごせる空間にしたい、そんな夢をみています。

 「かつての商店街のにぎわいを取り戻したい」と、わが街でもさまざまな工夫を凝らし努力をしていますが、なかなか形になりません。大型の商業施設と競争して価格や品ぞろえで勝負することや多様化した消費者のニーズにきめ細かく対応することなどは、30年前と同じ商売のスタイルでは無理なのです。
 一方で変わってないから残っているものもあります。これからは、ないものを継ぎ足すというよりも、残ったものをどうアレンジしていくか、つまり新しい形でどう残していくかにヒントがありそうです。
 私が商店街に関わるきっかけは、ネットで目にした一言でした。県内で活躍するいわゆる専門家がご自身のブログで名護十字路に降り立った時の感想を「商店街が傷んでいる」と書いていました。その通りであるにせよ、あまりにも無神経で、「今に見ていろ」とがぜんやるきになってきたのです。3年ぐらい前の話です。おかげで毎日どうしたものかと考える習慣がつきました。
 さて「遊園地」。楽しい空間を演出し継続させていくことは並大抵のことではないのですが、自分たちの頭と体で汗をかいて、そこにいる人たちが楽しんでいきたいものです。
 明日から第51回名護さくら祭りが開催されます。名護十字路から名護城までゆっくり歩いてみませんか。新しい市営市場、ヒンプンガジュマル、桜並木、そしてゆっくりとした空気。
 これから新しい物語が始まります。
(末吉司(すえよしつかさ)、NPO法人HICO理事長)