コラム「南風」 ミス日本への挑戦


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 皆さんがこのコラムを見ている今、おそらく私は8センチのヒールを履き、緊張で身体を小刻みに震わせながら目がかすむ程のスポットライトに照らされたステージに立っていると思う。私事だが、「2013ミス日本」の最終候補生12人に選ばれ、そして今まさにグランプリが決まろうとしている。ラジオで「おじさん」と言われている私がミス日本九州・沖縄代表と聞いて、驚いた方も多かっただろう。

 今日の大会に向け、「知識・身体・心」を鍛えることを意識して4カ月近くトレーニングに励んできた。まずは「知識」。日本の歴史や外交問題についての講習を受けた。特に難しかったのは金春流家元による能の研修だった。扇子を使っての舞が、私だけどうしても“かぎやで風”の踊りになってしまい注意を受けた。
 次は「身体」。候補生にはミス日本式ダイエット法が伝授される。原則としてご飯やパン、麺類など炭水化物を一切取らず、9品目(肉・魚・乳・豆・貝・脂・海藻・卵・野菜)を毎食摂るというのが決まりだ。それまでコンビニ弁当や栄養補助食品が昼食だった私にとってこの約束はかなり難しいものだった。職場で貝柱の干物を頬張りながらパソコンに向かう私の姿を見て、同僚や上司はさぞかし驚いただろう。そして週2回のジムでのトレーニングと合わせ4キロ減量できた。
 最後は「心」。私はどうして応募したのか、ミス日本になり何をしたいのか?沖縄をはじめ日本には「痛み」を抱えている地域があると思う。それを知らずに、日本の素晴らしさだけを語るミス日本は何か違うと思うのだ。“影を知るからこそ、より光の輝きを知る”私はそう信じている。ゴールは受賞ではなく、私が取材した沖縄や被災地・宮城県南三陸町の声を多くの人に伝えることだ。
 それでもやっぱり本番は緊張するだろうなぁ。
(伊波紗友里(いはさゆり)、ラジオ沖縄アナウンサー兼記者)