コラム「南風」 トップリーグの意義


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 日本最高峰のラグビーを見たことは? その名もジャパンラグビートップリーグ。本県では昨年12月に開催され、今回で2度目。
 では、この沖縄でプロのリーグを開催する意義は?「広める。強くする」の2点に集約できる。いわゆるラグビーの普及と強化だ。

 プロの試合は子どもたちに「夢や感動」を与える。「あのような選手になりたい」。そう思った子が夢を目指し競技者に。少年はラガーマンへ。鍛錬を重ね、夢実現でトップリーガー。これは多くのスポーツ関係者が思い描く素敵なシナリオ。
 だが、ラグビーの場合、そううまくはいかない。競技の特性から大きなハードルが待ち構える。激しいコンタクトプレイは魅力と躊躇(ちゅうちょ)をもたらす。「あのようなプレイをしたい、でも…」実際にプレイに感動しても、コンタクトを恐れて、尻込みする。何より家族が心配する。無理もない。
 受けた感動とは裏腹に、その感動が普及に直結しないのがラグビー。では、この壁を乗り越えることはできないのか。ラグビー関係者は皆思っている。ラグビーの価値を伝えることができればすぐにクリアできるはず。すなわち、ラグビーのブランディングである。
 鍵は県出身選手。福岡サニックスの濱里3兄弟を筆頭に現在5人。彼らがラグビー文化の伝道師として本県で凱旋(がいせん)試合。毎年、彼らがクリスマス前にやってくる。素晴らしいラグビー文化を抱えてやってくる。もちろんここでいう文化とは競技そのものだけではなく広い意味でのラグビー精神を含む。彼らならきっと壁を取り除き、多くの県民をラグビーの世界へ引き込んでくれる。それが彼らトップリーガーに課せられた使命。本コラムでラグビーの価値の幾許(いくばく)かを伝えることが私の宿命。ファン拡大は必ず普及と強化につながる。
 日本最高峰最南端決戦、三たびくることを強く願う。
(喜瀬典彦(きせのりひこ)、県ラグビーフットボール協会広報委員長)