コラム「南風」 断食健康法と酵素


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 風邪などの病気にかかると「体力が消耗しているから、元気になるためには無理してでも栄養価の高いものを食べた方がいいですよ」と助言する方がいる。しかし、それは逆効果だと私は考える。

 消化は膨大なエネルギーを必要とする。食べた後に眠くなるのは、エネルギーを使い果たした身体が、休息を求めているからである。風邪をひいて食欲もない時、「栄養価の高い物を食べよう」とステーキを食べた日には、消化不良になって、腸内が腐敗菌だらけになり、病気が悪化するのは必至である。病気を治すために代謝酵素をどんどん使っている時期に、消化のための無駄なエネルギーや体内の酵素を使う行為は避けた方が良いと思う。食欲がない時は、身体が「病気のために代謝酵素をたくさん使っている。だから消化酵素はあまり使わないで」と訴えている。
 犬や猫などの動物を飼っていると、彼らが体調の悪い時は決して何も食べず、できるだけじっとしている光景を目にする。それは、断食によって消化酵素を温存させ、そのぶん代謝酵素を活性化させて、身体の変調を治す術(すべ)を本能的に知っているからだ。人間も同じだ。できるだけ消化器官に負担をかけないで代謝に努めることが、病気の時の適した方法である。
 体調が悪い時は、ビタミンやミネラル、ファイトケミカル(抗酸化物質)等の栄養素が直接摂(と)れるような食品を少量だけ食べるか、もしくは極端な話だが、動物たちと同じように断食してもいいと思う。「二日間水だけ」という断食なら、栄養学的にも平気である。むしろ弱った胃腸の休息になる。病気の時だからこそ「食べる」のではなく「食べない」に改めること、これも大切な健康法である。
 酵素という栄養素に着目すると、実は、一番の病気予防につながるのだ。
(玉城常治(たまきじょうじ)、T・WIN社長)