コラム「南風」 失敗しても大丈夫


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 私の生活は家庭でも仕事でも毎日が失敗の連続で、日々反省を繰り返しながらも自己嫌悪と小さな自己満足の繰り返しです。

 しかし、失敗を失敗として終わらせず、次のステップにする。そして何度でも何度でも挑戦する、それが継続の本質ではないか。最近ある方からアドバイスをいただき、少しだけ気を楽にしているところです。
 子どもたちを見ていると、なかなか失敗しない。失敗しようとするとゲームをリセットするように、何もなかったようにやめてしまう、または最初から挑戦しないような風潮があるように感じています。上手にやり遂げようとすることは素晴らしいことですが、どうもすっきりしません。
 子どもだけではないです。私も含めた大人も、そつのない仕事をこなし、小さくまとまっているのですが、打たれ弱いのです。時代だといえばその通りですし、大人も子どもも物事への対処が上手になっていることは否定的にとらえることはないのですが、小さな失敗もせずに、間違わないという前提で仕事をしたり、勉強したりすることで大丈夫か? と思ってしまいます。
 子どもたちにも、若い人たちにも、「失敗しても大丈夫」と言いたいです。「失敗を恐れてチャレンジしないことこそ、人生の失敗だ」は暴言でしょうか。
 冒頭で紹介した継続の本質をアドバイスいただいた方は、こうも言っています。「現状維持こそ最大のリスクである」
 我々はますます混沌(こんとん)とした時代に突入していきます。そこを切り拓(ひら)いていくのは、挑戦し続ける精神と失敗を包み込む社会の懐の深さじゃないでしょうか。
 挑戦は、褒めてもらう・小さな成功を認めるということとセットです。周りの人の背中を互いに少しだけ押してあげられる地域にしたいですね。
(末吉 司、NPO法人HICO理事長)