コラム「南風」 睡眠時無呼吸


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 睡眠時無呼吸症候群はいびき、夜間頻尿、昼の眠け、などの症状があり肥満、糖尿病、高血圧などと関連し死亡率も高い。1980年代、欧米では多数の論文が出版されていたが日本では医療関係者でも知られてなかった。

そのころ、無呼吸症候群が疑われながらも診断や治療法がなく自宅で睡眠中突然死した例を経験した。
 これを契機に、日本では研修可能な施設がなかったので米国行きを決意した。米国呼吸器学会出席を機にコロラド大学で研修を受けた。早朝は無料の軽食が出る有名講師のレクチャー、午前中は教授の病棟や集中治療室の回診、午後は専門業者と在宅呼吸患者の家庭訪問、夜は睡眠検査の見学と実習を受けた。睡眠検査は医師でなく専門技師が実施していた。米国の医療制度の利点と問題点も理解できた。
 途中テキサスで“どのようにして睡眠検査室をつくるか”という講習会があり、世界中から300人以上が参加していたが、日本からは私一人で帰国後の成功を確信した。
 1990年12月から浦添総合病院で夜間睡眠検査を始め、途中検査技師(加根村隆・現在滋賀医科大)を米国に数回派遣、彼は米国睡眠学会認定技師試験の日本初の合格者となった。彼と共に医師、技師、看護師の役割分担を図り診療のシステム化に努めた。この仕組みはその後全国でモデルとなっている。その結果、毎日検査ができる日本初、最大の睡眠検査施設となった。マスクで鼻から空気を送るCPAP(シーパップ)の治療数も日本一であった。
 全国から見学や研修者があり、日本中の米軍病院からも検査の紹介を受けた。1998年、米国と日本から十数人の講師を招き1週間の睡眠検査講習会(会費10万円)を浦添で開催し成功裏に終えた。以後全国で検査施設が増えているが現在でも大きな地域格差がある。
(名嘉村博、名嘉村クリニック院長)