コラム「南風」 カジマヤーを子どもたちの手本に


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 長寿というトップの座を他県に譲りはしたが、カジマヤーを祝う催事があちこちで行われているのを見ると、まだまだ沖縄は健全な健康地域であるように思う。

 日本の平均寿命はこの90年ほどで実に40歳くらい延びたようであるが、沖縄県はもともとの平均寿命が高いために、伸び率が低く他県の健康意識向上により格差が狭まってきた。これは、環境要因で寿命が延びることを示している。
 素人なりに長寿の要因を考えるといくつかありそうだ。(1)生活をする土台の自然環境と社会環境(2)趣味・信仰・行事・精神風土の充実(3)保健・医療・福祉など諸制度や施設、設備などのサポート(4)休養・睡眠などの生活リズム、社会活動、社会的ネットワーク、運動・作業・スポーツ、食文化・栄養のバランス。これらを含むライフスタイル。
 こう考えると、ライフスタイルは自分でコントロールがしやすい。プロダクティブ・エイジングや健康的なライフスタイルの確立に努めることが肝要であり、先輩長寿者の生き方を学ぶことが、子どもたちの生活スタイル見直しにつながり、また深く関わるのではないだろうか。
 沖縄には本来、時間の切り売りをせず、おおらかでこだわらず、のんびり余裕を持ち、情緒豊かで人情にあふれ垣根の低い人間関係と共同体意識を持つ。この心身のリズムの良い影響と沖縄ならではの生活スタイルが関与した結果がカジマヤーであるように思う。
 沖縄の風土では、数値化した地域間競争ではなかなか優位な方向には進まない。沖縄の持つ力の大きさは、沖縄独自の基礎があることであり、その上に子どもたちが乗っていることを前提に、沖縄の有効な後天的要因を組み立て、カジマヤーという長寿の象徴を子どもたちの健康、健全に反映できるよう考え取り組んで行きたい。
(高田勝、沖縄こどもの国専務理事・施設長)