コラム「南風」 海外から見た日本と沖縄 その1


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 ちょうどVGO台湾公演発表に出席してきたので、台湾でコラム執筆中です。これからは数回に分けて海外から見た日本と沖縄の話をすることにします。

 米国の著名雑誌「Wired」によると、現在アジアからの米国留学生の割合は中国人約15万人、韓国人約7万5千人、台湾人約2万5千人。そして気になる日本人の留学生数はたったの約2万5千人。韓国の人口は日本の約39・1%、台湾の人口なんて約18・3%しかありません。僕が留学した13年前だと日本人学生がアジア人留学生の中では最も多いと言われていましたが、徐々にこういった現状になっていきました。これは皆さんが考えている以上に深刻な状況です。
 経済で世界第3位の日本ですから、留学する経済力がないわけじゃありません。
「どこを見ているのか」が原因だと僕は思います。最近は頻繁に日本・沖縄に来る機会が増えました。来る度に思いますが、日本は平和で不自由がほとんどなく、何となく生きていけますね。あまり危機感はありません。大学で講演に行って学生と話しても「やりたいことがない」と言う学生がものすごく多くなってしまったくらい、何でも手に入ってしまう恵まれた国です。北野武さんが執筆された「超思考」という本で、昔の人たちはたくさんの夢があった、と書かれていました。それはうまい物が食べたい、どこに行ってみたい、とかの単純なことです。それすらも思いつかない若い人たちが増えています。
 そういう人たちには取りあえず外に出てみることを勧めます。別に短い旅行でも良いし、アメリカでなくても、ヨーロッパやアジア、アフリカでもいい。他国で自分と同じ世代が何をして生きているのか、どんな夢を見ているのか、ということを人間の五感全てを使って吸収してみましょう。続きます。
(仲間将太(なかましょうた)、音楽プロデューサー ギターリスト)