コラム「南風」 学資保険


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 先日、子どもの「学資保険」で支払った保険料よりも受け取る金額が少ない元本割れが起きたとして、保険会社相手の訴訟が行われ、和解が成立したとのニュースがありました。「学資保険イコール貯蓄で、元本割れをするとは驚きである」と取り上げられていましたが、逆に私自身は、そのことがニュースとして取り上げられたことにびっくりしました。

学資保険の元本割れの可能性については、私が保険業界に参入した十数年以上前から言われていたことなのです。
 ひと昔前の予定利率が高い時代には、受け取る満期金は支払った保険料の総額より大きく、保険商品なので親の死亡時のリスクにも対応できる貯蓄と保障を兼ねた保険商品として重宝されていました。しかし、現在では予定利率の低下に伴って支払う保険料総額の方が、満期金より多くなる元本割れの商品が多くなっています。
 契約者(親)が死亡したときや、子どもが入院したときの保障が充実すればするだけ保障部分に保険料がかかり、貯蓄性はその分低くなります。加入する際に、目的が貯蓄なのか保障なのかをしっかりと決めることが重要になってきます。学資保険は貯蓄で増えるものという思い込みで決めるのではなく、しっかりと確認する習慣を持ちたいものです。
 思い込みと言えば、最近コマーシャルで見掛けるインターネット保険もその一つだと思います。ネット販売イコール手数料が低く、保険料も安いと考えがちですが、同等の保障内容で確認してみますと、他の商品が良かったりします。
 前回のコラムでも紹介しましたが、生命保険は住宅に次いで高い買い物になります。「誰のために、何のために」保険商品に加入するのか。目的をしっかりと決め、きちんと確認をしたうえで利用してください。
(慶田城裕、有限会社ライブアップ代表取締役)