コラム「南風」 医療過誤


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 先日、私の学校へ提出する健康診断の結果を聞きに、某病院へ行きました。
 受付後、半時間ほど待って診察室へ呼ばれると、医師より「すいませんが、検査項目にもれがありました。検査には1時間ほどかかりますが、お時間は大丈夫ですか?」と聞かれ、「はい」と答えました。

 「では、採血室へ行かれてください」とカルテを渡され、採血室へと向かいながら、いったい私は誰に文句を言えばいいのだろう? と考えていました。
 前回来た時は医師の診察は受けておらず、看護師に健診の必要項目を伝え、各検査を受け、その結果が出そろうのを待っての今日の受診です。
 目の前の医師がオーダーミスをしたわけではないのだろうと推測されました。前回の看護師は見当たりません。採血室で採血をしていただいたのも、前回の方とは違う方でした。
 結局、誰にも一言の文句も言えないまま、ミスがなければ必要のなかった採血を受け、数時間の時間をロスし、帰路に就きました。
 医療の現場ではミスは付きものです。だからこそ、ダブルチェックなどと呼ばれる、チェック体制が敷かれています。それでも、ミスは起きています。それが現実です。そして、その多くは、患者の泣き寝入り、もしくは、広い心で受け流されているのが実情なのかもしれません。
 私の長男の入院中にも医療ミスは起きました。数カ月間、投与予定量の10倍の内服薬が投与されていました。しかし、そのことによる明らかな長男の身体への悪影響は見つかりませんでしたので、病院側の「すいませんでした」の一言で、収めるしかありませんでした。
 まだ採血痕の残る腕を見ながら、いったいどうしたら自分や家族の身を守ることができるのか、と思案する私です。
(福峯静香、NPO法人療育ファミリーサポートほほえみ理事)