コラム「南風」 動物の飼育


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 動物園ではいろいろな動物を飼育していますが、飼育研究も進み餌も管理方法もマニュアルができてきました。

 動物園の飼い方には、直接動物とやり取りする方法と、安全を確保して間接的に飼育をする方法がありますが、それぞれの動物により飼育する形態が違いますし飼育員により考え方、接し方も違います。野生性の強い動物は、自分の弱みとなるけがや病状を表現しないため発見しづらく、観察の怠りが動物の命に関わることにもなってしまいます。
 飼育をする中で、人間が動物の動きをコントロールしようとする時は、人と動物との間でお互いの心境や習性、癖などの読み合いが必要になります。このセンスがないと動物とうまく付き合えず、思い通りにも動いてくれません。それどころか危険が伴いけがすることにもなりかねません。
 このやり取りのセンスは「動物が好き」と言うのとは違い、お互いをどのくらい読めるか、分かるか、と言うもので動物の個体、各個人によって全て違ってきます。ある程度のこつはあるにしても動物側が人を選ぶこともあり、マニュアルが作れないのです。
 幼少のころに動物に親しみ、大人になっても動物を見下さず動物の心を読むよう心掛けると、喋(しゃべ)ることができない動物を理解することができセンスが身に付くと思います。多くの動物は人間より力が強く、たたいたり、怒鳴ったり、力ずくで管理できるものではありません。相手の心境を読み、相手もこちらを理解するやり方を独自で試さねばならないのです。褒めて伸ばすだけでもなく、相手が理解できる叱り方をし、プレッシャーをかけたら解放し、反応を読んで対応することが動物飼育には必要です。
 私たちが喜ぶことを理解する動物とのやり取りは、子どもとの接し方にもつながるのではないでしょうか。
(高田勝、沖縄こどもの国専務理事・施設長)