コラム「南風」 ご縁に感謝!


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 去る11月9日、宜野湾喜友名区の敬老会に出掛けた。約10年も地域のバスツアーのガイドをさせていただいているので皆さんほとんどがおなじみの方ばかり。「忙しいのにありがとうね」と喜んでもらい、それだけでも足を運んだかいがあったと思う。地域の皆さんの踊り、和太鼓、三線などが披露され、サプライズで余興担当の方のお孫さんが登場し、しまくとぅばで場を盛り上げた。来年も一緒に祝いたいと思う。

 その翌日は私たち家族にとって第二の故郷ともいうべき八重瀬町のおばあちゃんが88歳の米寿を迎えた。大正、昭和を生き抜いてこられた方々の波乱万丈な人生については前回も触れたが父の顔も知らず、母親と暮らすこともできないまま、異国の土地で両親は他界してしまった。戦争で兄弟も失い、残された2人の兄弟が祝宴に出席され、家族、親族と共に長年のご苦労に報い喜びを分かち合った。孫たちのかぎやで風で幕開け。息子夫婦の仲むつまじい踊りや、ひ孫のエイサー踊りに終始うれしそうな笑顔を見せていた。戦後復興の厳しい中、周りの方々に支えられ社会奉仕活動にも取り組み、25年余の民生委員児童委員を委託され、1999年に厚生大臣賞も受賞した。
 「聞けば聞く如に 見れば見る如に世間の手本なゆさ、これからの後も歩み重ねやい百二十歳までもおかけみしょり」。桃原先生の歌声が心にしみた。また地域の大湾先生の踊りの指導で家族の余興を披露することができたのだという。
 地域に根付くユイマールの心。苦境を乗り越え地域の復興や活性化のために頑張ってこられた歴史を思うと本当に「うとぅすいや(お年寄りは)宝」。80代なごやかに、90代愛らしく、いぶし銀のような百歳を迎えていただきたい。皆さま、感動ありがとうございました。
(崎原真弓(さきはらまゆみ)、バスガイド)