コラム「南風」 「世界のうちなーんちゅ」ってだれ?


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 音楽プロデューサーという立場上、多種多様な人種・国籍・年齢層の人たちと仕事をする機会が多々あります。学生時代も数十カ国から留学してくる学生たちと共に学び、そして多国籍な教授陣に師事してきました。

やはり自己紹介の時にみんな出身国の話をしますね。それで「沖縄出身」だと言うと、当然のごとくほとんどの人たちはOKINAWAに対しての知識はもちろんのこと、そこがどこなのかも全く知らないわけです。沖縄では頻繁に「世界のうちなーんちゅ」という言葉を耳にしますが、アジアの外では沖縄を知る人はあまりいません。そもそも「日本人です」と自己紹介をし、琉球語を忘れた沖縄人が多い時点で、そりゃあ日本の一部としてしか見られませんよね。琉球民族なのか、日本人なのか。どっちなんでしょうか。
 あと基地問題。沖縄では米軍兵による犯罪が発生すればすさまじいニュースになり、彼らには外出禁止令が出ます。その昔に琉球王国を侵略したはずの「ないちゃー」が罪を犯してももちろん外出禁止令なんて出ない。そして基地批判をするのに土地代の恩恵を受ける沖縄人もいれば、基地従業員もたくさんいる。僕は別にアメリカ崇拝派でも沖縄批判派でもありませんし、基地があることに賛成はしません。ただ沖縄の現状はいろいろ矛盾していることが多い気がしますね。基地問題=アメリカ人は悪い、という方程式には激しく疑問を感じます。しかし日本語と英語が両方ネイティブになり異文化を理解する能力があれば、違った視点で見ることができるようになると思います。
 世界、地球、はてや銀河系思考を持って活動している人たちは、文化的な傾向は考えますが人種で人を判断しません。そうなりましょう、自称「いちゃりばちょーでーの世界のうちなーんちゅ」なんだから。
(仲間将太、音楽プロデューサー ギターリスト)