コラム「南風」 図書館力


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 「―図書館力―一年の計は図書館にあり」。繁多川図書館の2014年1月の展示テーマです。新しい年は今年以上に皆さんの暮らしに役立ててほしい、職員全員一致の企画です。受託して3年、図書館を訪れる利用者との会話も増えてきました。こんな気の利いた「謎かけ」をいただいた時もあります。「図書館とかけて、好きな洋服ととく。そのこころは、いつも着(来)たい」。○○さん、ありがとうございます。その日、カウンター当番のHさんは1日中笑顔でしたよ。

 さて、12月17日司書冥利(みょうり)に尽きるうれしい出来事がありました。遅番勤務で出勤した私を待ち構えていた同僚のNさんが興奮した口ぶりで、「たった今、○○タクシーの山城さんという方から電話があって、南風で紹介した絵本の…それで10時ごろ伺うとのことです」。と電話でのやりとりを締めくくりました。
 (南風で紹介した絵本を中学生の孫のために買い求めたこと。大人の自分も夢中になったこと。他の絵本もできれば紹介してほしい)
 思いもよらぬ伝言です。
 どうやら私が図書館司書をやめられない理由が分かった気がします。同世代の山城さんに私の方こそ感謝です。
 心が打ちのめされそうな時、書架に整然と並ぶ本の背文字たちを口にするだけで癒やされる時があります。文字や文、絵の不思議な力がそこにあります。私流の図書館力発見です。
 お越しいただいた山城さんに、言葉の世界の不思議なお話絵本『ぜつぼうの濁点(教育画劇)』を紹介したことも報告します。
 図書館を訪れた皆さんはロビーの壁面いっぱいの折り紙に必ず目を留めます。子ども連れで写真を撮る方もいます。受託当初から装飾を一手に引き受けていらっしゃるボランティアの大嶺正子さんも、また図書館力を担う一員なのです。
(平良京子、県子どもの本研究会副会長)