コラム「南風」 味わうということから見つけるもの


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 お米にまつわるお話というのは、稲作・おにぎり・炊飯の歴史、お米の銘柄数から見える日本人のお米へのこだわり、お米の選び方から保管まで、食育として、ごはんの栄養やさまざまな調理法、玄米・分づき米・胚芽米・白米のそれぞれのメリットやデメリット、栽培方法や産地や農家による味わいの違い、世界各地にあるお米料理など、実はけっこうな広がりがあるんです。お米の魅力にとりつかれてここまできた私にとって、伝えたいことや味わってほしいお米などがまだまだ山ほどあります。

 日本人の主食であり続けたお米。だからこそ、当たり前すぎてその良さを忘れられてしまっている部分があるのですが、「当たり前すぎるということの存在感」ってすごいことだと思います。お米だけではメーンにはならないかもしれませんが、さまざまな調理をほどこされた食材をしっかりつなぐのがお米でもありますし、おにぎりというお米本来の味がうまさを左右するものも、お米の顔の一つです。
 この仕事を始めて「ひとくち」というのを味わうことが多くなりました。色合い、瞬間の香り、食感、かむほどに変わる味わい。そのうちに「作物を慈しむココロ」が生まれました。大げさに聞こえるかもしれませんが、食事をいただくときの“いただきます”を理解できるようになりました。難しくはありません。食事を五感で味わって食べるだけ。大切なのはできることから♪
 何か一つのきっかけがあることできっといろんなことが分かるようになります。「お米」を通し、それをお手伝いするのが私の役目だと思っています。そして、ブログや講座などを通して、たくさんの方が少しでもお米について「へぇ~」となるようなお話を書いていきますので、これからもよろしくお願いします。
(渡久地奈々子、五ツ星お米マイスター)