コラム「南風」 寝る子はでぃきやーないんどー


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 海なし県である群馬で生まれ育った私が、沖縄の琉球大学に赴任してきたのは、8年前の春です。世界に誇れる美しい海を毎日眺められる場所に暮らし、人間的に大きく成長させていただけていると、沖縄の自然に感謝しております。しかし、沖縄の一番の財産は、自然豊かな場所で育ったウチナーンチュの人々だとも年を重ねるごとに感じております。

 さて、私の専門は公衆衛生学です。公衆衛生学は、日本では医学の中の一つの学問で、基礎医学の社会医学系に属します。内科学や外科学などの臨床医学の対象は患者ですが、公衆衛生の対象は普通に生活する人々であり、その大きな目標は、病気になることを未然に防ぐ、「予防」なのです。公衆衛生は、英米流の「公衆衛生活動」に端をなす言葉で、机上の研究だけでなく、予防を実践することがその根底にあります。
 私は現在、「寝る子はでぃきやーないんどー」をスローガンに、沖縄の児童生徒が抱える学力の問題に対して、睡眠を改善させるプログラムの開発を行い、学力を向上させる研究に取り組んでいます。学力が低いことは病気ではありませんが、少しでも勉強ができるようになって、いろんなことを知り豊かに成長してもらいたい、そのためには勉強を行うことももちろん大事ですが、しっかりと睡眠をとることも大切なのです。こういった活動もまさに公衆衛生です。詳細は次回以降に述べます。
 また、私は琉球大学サッカー部の監督も務めますが、県内の約80人の小学生を対象に「琉大生がサッカーと勉強を教えます!」という公開講座をサッカー部の学生諸君と行い、5年がたとうとしています。沖縄の子どもたちを文武両道にしたい。これが私の究極の公衆衛生活動です。このような私ですが、半年間よろしくお願いします。
(笹澤吉明(ささざわよしあき)、琉球大学教育学部准教授)