コラム「南風」 文化系ティーンの頃


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 中学は美術部、高校は演劇部、大学は文芸部に所属していた。見事なまでに全部が文化系の部活、サークルである。

 誰かに強制されたわけでなく、自分で選んだ好きなことをしているのだが、どうしても体育系の部活の人たちに比べて不公平感を抱かずにはいられなかった。
 例えばインターハイの推戴式。あれには驚いた。インターハイの前に選手を紹介し励ますために、全校生徒を体育館に集めるのだ。インターハイに出場する人たちがうらやましかった。その時ばかりはスターのように見えて仕方がなかった。
 演劇部も夏と秋に県大会があったが、1度も励まされたことはない。わざわざ演劇部のためだけに全校生徒に集まってほしいとは思わないが、せめて朝会のついでにでも激励してほしかった。激励されたかった。
 演劇部は自分たちで立ち上げた部活だったこともあり、なかなか練習場所が定まらなかった。初め使っていた社会科教室は講座のために使うからと追い出され、次に使った空き教室は書道室の隣だったため、うるさいと言われ、使えなくなってしまった。
 その次に使った空き教室は、他の部活と曜日を分けて使うことになり、そこでもトラブルが生じた。しまいには、体育館の舞台を使うことになったが、体育会系の部活生がふざけて邪魔をしてきて……というふうに、体育会系の部活では考えられない、ふんだりけったりなことが起こるのだ。
 それでも部活は楽しかったし、いちばん最初に部員3人だけで出場した大会での朗読劇の経験があったかこそ、今でも私は詩の朗読に情熱を傾けているのだ。
 新聞で、文化系の部活で活躍する子どもたちを報じる記事を見るとうれしくなる。もっともっと輝いてほしい。私は文化系ティーンズを応援しているよ。
(トーマ・ヒロコ、詩人)