コラム「南風」 無意識のダウンロード


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 朝起きて、お気に入りのムーミンのマグカップにひき立てのコーヒーを入れる。そして机に座って、コーヒー片手にバナナを頬張りながら仕事を開始。歌詞を書き始める。
 それが私の最高の朝の過ごし方です。

 朝がどれだけ充実するかでその日1日が決まるほど、私にとって朝は重要な時間。まさに自分の脳みそはパソコンのダウンローダーみたいなもので、すっきりした頭にはまとまりのよい歌詞がさっとダウンロードされます。(思い浮かびます)
 今までの書いた歌詞の中で一番のお気に入りのフレーズが「太陽がまぶしくて思い出も日焼けする夏」という「ファンファーレ」という曲の一節です。
 朝起きると本当に太陽がまぶしくて、私はとっさに手をかざしながら目を細めました。そんな中で真向かいにある弟の作曲部屋からタイミングよくこの曲のメロディーが聞こえ、音に合わせて適当に口ずさんでいたら知らないうちにダウンロード完了。
 「思い出も日焼けする夏」なんてうまいこというなぁと自画自賛してしまったり。(笑)
 そう、歌詞を書く時に一番大切なのが、この「知らないうちに」という無意識の時間なのです。
 考えて考えて出てくる歌詞よりも前からあったかのようにふと浮かぶ歌詞が一番自然ではまりがいい。
 自分が書いたとは思えないようなフレーズになったりするからこれは俗に言う「降りてくる」という現象なのでしょうか。
 逆に夜は1日の情報量が多すぎてなかなかダウンロードしにくいので、なかなかしっくりきません。これまた面白いですね。
 朝の無意識の頭は創作の宝庫です。さあ、これからまたコーヒーを入れ直して無意識ダウンロードを始めるとしましょうか。
(Manami、歌手)