コラム「南風」 振り返りの大切さ


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 主に職業人・学生を対象に仕事の進め方やコミュニケーションの研修を行っている。研修ではロールプレーイング(役割演技)や事例を通して受講者自身の仕事ぶりを振り返る場をつくっている。

 接遇がテーマのときは、事前に設定した顧客対応を周囲と相談しながら作成してもらう。情熱的に役になりきった発表は盛り上がる。価値観が多様化した現在、「この言い方・やり方がベストです」なんて答えを限定するのは難しい。フレーズなど基本として知っておくことは必要だが、それだけでなく、今自分が体験している出来事からヒントをつかみ、積んでいく習慣を身につける方が仕事ぶりに変化を起こすと思う。
 私は題目に合った情報を提供することと「あっ、そうか」と気づきを起こす仕掛けをつくる。
 話は前に戻るが、ロープレ後に三つの質問をする。(1)やってみてどうでしたか(2)良かった点は何ですか(3)改善点は何ですか―だ。
 (1)では「全然だめでした」といった多少上滑りな意見が出ることもある。そんなときは深度を1度、2度深める質問をする。「うまくいかなかったことを3点挙げてください」などと考えてから答える質問をする。
 (2)ではうまくいったことを聞き、繰り返し職場で再現するように促す。
 (3)ではこのやり方で起こる問題を考え、次に改善案を討議する。そして職場での実践につなげる。
 仕事の基本「PDCAサイクル」。Pは「計画を立てる」、Dは「実行する」、Cは「計画通りに実行できたか評価する」。Aは「改善行動を考える」。
 PDCAを回しながら向上していく。振り返りは、特にディブリーフィングが効果的とのこと。そして良い点、悪い点も意見し合える関係づくりも大切だ。
 言うは易(やす)く行うは難し。
(田港華子(たみなと・はなこ)オフィスDEN代表)