コラム「南風」 ゲームに代わるワクワク感


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 睡眠をしっかり取ることで学力がアップすることは前回話した通りです。にもかかわらず、日本の子どもたちの睡眠時間は、先進国の中で最も短いことが米国の科学雑誌「Sleep」で紹介されており、11歳で8時間24分、14歳で7時間14分、16歳で6時間31分と諸外国に比べ1時間くらい短い平均睡眠時間となっています。米国疾病管理センターは、小学生で9時間、中高生では8時間半の睡眠を推奨しています。

 学校があるので朝は早起きを強いられます。従って、日本の子どもたちは、夜更かしをして就寝時刻が遅くなっているわけです。日本学校保健会の調査によると、夜更かしをする理由は、一番は「なんとなく」、次いで「宿題や勉強」が多く、その次に「深夜テレビ、ビデオ」「パソコン、テレビゲーム」、中高生では「携帯電話やメール」などさまざまなメディアとの接触時間が長くなることです。私の調査でも沖縄の小中学生の睡眠時間を短くする原因はこのメディアとの接触時間でした。
 「ならばこれをやめさせればよい」なんて簡単にできれば親は苦労しません。確かに、子どもたち、いや大人にとっても、テレビや携帯電話、パソコンなどのメディアは魅力的です。そこで私は「それに代わる魅力的な活動は何だろう?」と考えておりました。
 思いついたのは、週末に夜更かし朝寝坊になりがちな子どもたちに、日曜日の早朝に琉大サッカー部の教え子諸君と一緒に、サッカーや勉強を楽しく教えたら、ということでした。5年目の現在、80人の小学生が受講しており、保護者の皆さまから感謝のお言葉をいただいております。土曜の夜、子どもたちは、“大学生のお兄ちゃんとサッカーや勉強ができるワクワク感”で、親の言う通り、明日に備えて早めに布団に入っていることでしょう。
(笹澤吉明(ささざわよしあき)、琉球大学教育学部准教授)