コラム「南風」 弁護士の机の上


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 弁護士の仕事の中で最も多く時間を割くのは書面を作る時間ではないかと思います。
 もちろん、弁護士の仕事は書面作りのほかにもたくさんあり、相談や打ち合わせでいろんな方たちとお話しすること、裁判所に行って証人尋問など法廷での活動をすることも大切な仕事です。

 しかし、弁護士が多く時間を過ごすのは、書面を作るために机に向かっているときでしょう。私も事務所の机の前でウンウン唸(うな)って書面作りをして生みの苦しみを味わっていることがよくあります。
 書面を作るときには、法律が載っている六法はもちろん、裁判でそれまでに提出された書面や証拠などの資料、法律の専門書などを総動員します。
 どの弁護士も、書面を作っている最中には、机の上に何冊もの本が広げられて折り重なっている隣で、裁判の書面や証拠などを綴(つづ)った記録がうず高く積まれていることが多いです。資料やら本やらに囲まれ、あっちこっちをひっくり返して調べつつ、パソコンとにらめっこして書面を作っていくわけです。
 書面を作っていないときの弁護士の机の上は、人それぞれです。私の事務所でいえば、4人中2人の弁護士の机の上は、さまざまな資料やファイルなどが所狭しと置かれています。資料の山が崩れて他の弁護士の机の上を侵食している箇所もあります。
 もう1人の弁護士の机の上には、数えきれないほどの本があり、横に並べられた本と縦にうず高く積まれた本とで、その弁護士が座っているときには顔が見えないくらいです。最後の1人の弁護士の机の上は、必要最小限の本が置かれている以外はきれいで広々としています。このうちどれが私の机なのかは…秘密ということにしましょうね(笑)。
(大井琢、弁護士)