コラム「南風」 リンク~つながり~


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 「Link」という名のダンスイベントが6月終盤に開催されました。私が所属するダンスチームの一人が白血病にかかり、無菌室での療養生活を送っていました(今月退院し、現在は家から通院しています)。そんな彼を応援するためにダンサーや歌手、DJが県内全域から集まり、平日にもかかわらず会場が満員となりました。

 私はダンスを続ける中で、ダンスは「人と人を繋(つな)ぐ強い力」を持つと思うようになりました。その理由の一つがカナダ留学での出来事です。現地に到着して2日目、自信があった英語が急に話せなくなりました。日本人との交流は極力避けたく、孤独感を感じる日が続きました。
 ある日、同じ境遇の日本人ダンサーと知り合い、一緒に現地のダンサーを探すことになりました。そうして出会えた地元の人と練習するようになり、チームとして一緒に踊り、友人として語り合う中で、次第に英語を扱えるようにもなり、充実した時間を過ごす事ができました。知り合った人はダンサーにとどまらず、1年後には300を超える人たちと繋がっていました。
 この経験を通して、ダンスは性別、学歴、世代、国、人種、宗教などを超えて人を繋ぐ力を持っていると実感しました。なにも私が特別だったわけではなく、私が出会った多くの人が同じような事を話していました。
 ストリートダンス創始者の一人であるシュガポップさんにお会いした時、「ダンスの良い所は、世界中に友達ができる事だ」とおっしゃっていました。
 さまざまな文化を受けて発展したダンスだからこそ、多様性を許容する力があるのかもしれません。
 人間関係を学ぶ手段としても、ストリートダンスは現代の日本に良い影響を与える事ができるのではないかと私は思います。
(伊狩誓志、ストリートダンス講師)