コラム「南風」 富士山の光と影


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 先日コスモアースコンシャスアクトクリーンキャンペーンin Mt.FUJIというイベントに参加した。コスモ石油とTOKYO FMをはじめとする全国のFMラジオ38局が一緒になって地球環境の保護と保全のために清掃活動を行っている。

 富士山の清掃は2001年から毎年アルピニストの野口健さんと、富士山の環境保全活動を行う方々と一緒に富士山麓の清掃活動と、エコトレッキングが開かれている。このイベントには全国のFM局のパーソナリティーやリスナーが参加していて、わたしも今年はそのメンバーの一人として参加させてもらうことになった。
 富士山を見るのが初めてだった私は、富士山の姿が見えるとその高さや周辺に見える沖縄にはないような広い湖、針葉樹の木々に歓声を上げていた。
 ただその浮かれ気分は、その後開かれた勉強会や清掃活動で吹き飛んでしまった。
 富士山は昨年6月世界文化遺産に登録されているが、それは条件付きなのだ。ごみ問題や環境保護についての改善策を再来年までに提出しなければいけない。その話を聞き清掃活動にもがぜん気合が入ったのだが、清掃場所に着きまたまたごみの山に開いた口がふさがらない。
 積まれた何十個ものタイヤ、ソファ、その下の土を掘ると缶やペットボトル、ガラス片など、ごみが地中に眠っている。参加者を待ち受けていたのはごみ拾いならぬごみ掘りだった。
 翌日には美しい花や木々が生い茂る、3合目から4合目をトレッキングし、富士山の光と影を2日間で体感してきた。時間内に拾いきれなかったごみに思いをはせつつ、世界文化遺産の登録が取り消しということにならないようにするにはどうしたらいいのか今も考えている。
(山田真理子、フリーアナウンサー)