コラム「南風」 性感染症について


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 前回、確実な避妊のためにはコンドームではなく、ピルや子宮内避妊具がお勧めですとお伝えしましたが、セックスでうつる病気(性感染症)を予防するためには、ぜひコンドームの使用をお勧めします。

 性感染症の総数は2002年以降減少傾向でしたが、ここ数年下げ止まり傾向があり、一部の感染症では再び増加に転じているものもあります。性感染症の中でもっとも多いのはクラミジアで、10代後半から20代の若い人たちの感染が目立っています。かつて男性同性愛者がほとんどだったHIV感染も、現在では異性間感染も増加しています。さらにクラミジア感染をおこしている人は、HIVの感染率が2~5倍になります。そのため今後は若年層へのHIVの感染増加が危惧されています。
 性感染症は決して風俗に行ったり、不特定多数のパートナーを持つなど特殊な状況だけで起こるものではなく、皆さんが思っているよりもっと「身近な」感染症です。数年前に「カレシの元カノの元カレを知っていますか」というキャッチコピーのエイズ検査促進のCMがありました。パートナーが特定の一人であったとしても、その人が以前付き合った人から性感染症を感染しているかもしれません。「私、大丈夫かな?」そう思った方は、ぜひ検査を受けましょう。保健所では、HIVや肝炎、クラミジアなどの検査が匿名・無料で受けることができます(詳細は各保健所へお問い合わせください)。私も性感染症チェックを受けたことがあります。早期発見が大切です。ピルを飲んでいて妊娠の心配がなくても、性感染症予防のためにコンドームを使いましょう。そして、ぜひパートナーの方と一緒に検査を受けましょう。避妊のこと、そして性感染症のこと、あなたの大切なパートナーと一緒に真剣に話し合ってみてはいかがでしょうか。
(島袋史(ふみ)ゆいクリニック院長産婦人科医)