コラム「南風」 南灯寮最高!


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 寮生が通う大学・専門学校は合わせて25校に及び通学や帰寮の時間は多様である。各自が自分の生活パターンで行動するため「一つ屋根の下」とはいうものの日常の交流は十分とは言えない。アルバイトが加わると尚更(なおさら)である。そのような中で、寮の規律や良好な生活環境の維持、互いの親睦を深めるための核となるのが全寮生で組織する寮自治会である。

 毎月第1日曜日に総会を開き、諸連絡やごみ出し、共用部分(トイレや洗面所など)の清掃の他、これまで受け継がれてきた寮独自の行事にも取り組む。その2大行事が寮祭(11月)と復帰祭(5月)である。
 復帰祭は復帰記念日(5月15日)に近い日曜日に地域の商店街と駅前広場でエイサー演舞を披露し、復帰を祝うとともに、日頃お世話になっている皆さまへの感謝と交流を主な趣旨として行っている。
 今年は4月21日から練習を開始し5月11日(日)の本番に臨んだ。新入寮生のエイサー経験は小中の学校行事のみというのが大半であったが、先輩の指導を受け短期間に上達した。当日は、在京のもう一つの県外学生寮である沖英寮の女子学生の応援参加もあり、沿道からの温かい声援を受けながら和やかな雰囲気で終了することができた。
 本土復帰は1972年である。寮生のご両親の中にはそのころ、生を受けた方も多いのではないだろうか。その子どもたちが沖縄県の歴史のひとコマに思いを寄せ、東京の地でこのような取り組みを行うとは何と素晴らしいことだろうと思う。伝統を築いてくれた寮の先輩方にも敬意を表するものである。反省会の席で新入寮生の一人がいきなり叫んだ。「寮監!南灯寮最高ですよね、自分は南灯寮に入って本当に良かった!」
 寮生活でしか味わえない何か素晴らしいものを感じ取ったに違いない。
(大山清、沖縄県県外学生寮南灯寮寮監)